なぜ提案型営業でないといけないのか


結論としては、提案しないと売れないから、となります。

なぜ営業職があるのか

提案型営業の重要性を考える前に、営業職の存在理由の理解が欠かせません。なぜ営業職は存在するのか?これは一見、哲学的な問いにも思えますが単純なことで、売れない商品を扱っているからです。

営業職なしに商品が売れるわけがないと考える人もいるでしょう。では、電気はどうでしょうか。日本で電気なしに生活している人は稀でしょう。少なくとも、この記事を読んでいる人は電気を使っているはずです。では、電気を使うさいに、電力会社の社員がやってきて「ウチの電気を使ってください」と言いに来たでしょうか?

おそらく自分から電気の契約をした人がほとんどであるはずです。最近では電力自由化の影響もあって、電力会社の営業マンが動くようになっていますが、実は電力会社において営業部署ができたのはここ20年程度のことでしかありません。言うまでもなくそれ以前から電力会社は存在しているのであり、その間は文字通りの殿様商売だったわけです。

つまり、本当に必要とされている商品ならば、客の方から勝手に買います。客が必要性を感じていないから売れないのです。そして売れない商品だから営業マンをつけてやらないといけないのです。営業マンの仕事は商品を売ることですが、この意味はしっかりと考えた方がよいでしょう。

商品説明はホームページがやってくれる

情報技術の進歩により、簡単に情報発信できるようになりました。従来では、チラシやパンフレットを使っていましたが(もちろん今でも有効です)、現在ではインターネットがあるため、ホームページ上に商品説明を掲載しておけば、24時間休みなく誰でも閲覧可能です。そして決済機能も付けることができるため、営業マンや販売員なしで、ネット上で商品の売買が行われるようになりました。

営業マンの中には商品説明しかできない人が珍しくないのですが、商品説明に関しては、休むことなく給料も必要のないネットの方がはるかに優れています。

自分になにが必要であるかを理解している客にとって、営業マンは不要なのです。

提案型営業の重要性

一見、ネットに掲載された商品説明は万能のように思えます。しかし、限界が存在するのです。商品説明は、一応のターゲットは想定しているものの、個別の客を想定しているわけではありません。つまり、「○○さんはこういう課題を抱えていますね?それはウチの商品を使うことで解決できるのです!」とは言えないのです。どうしても抽象的な説明になってしまいます。

先ほど、営業マンが必要になるのは売れない商品を扱っているからだと書きました。「売れない商品」は、必ずしも「役に立たない商品」を意味するとは限りません。本当は必要だけど客がそれを理解していない商品、そもそも客が存在を把握していない商品などもあります。

一人ひとりの客を理解し、その客に必要なものを提示すること、これは生身の人間にしかできません。これが提案型営業でなければならない理由です。

提案型営業の本質

さらに踏み込んで、提案型営業がどういうものであるのかを考えてみます。

提案型営業に対して、客に質問をし、課題を見つけて、自社商品を提案する、というものイメージする人が少なくありません。確かにそれはそれであっているのですが、前提を考える必要があります。客に質問をしていくわけですが、疑問を持つためには、客のことをある程度理解しておくことが不可欠です。

客が自身の課題を理解している場合はまだいいのですが、客自身が課題を理解していない場合、営業マンが課題を発見していく必要があります。誰も知らない課題を明らかにしていくのですから、これは研究です。そして、研究のためには勉強が欠かせません。なぜなら、どこまでが明らかになっているのかを知る必要があるからです(研究と勉強を同じ意味で使う人がいますが、まったく違うので気をつけましょう)。

というわけで、客について既に明らかになっていること、つまり経営理念、歴史、事業、規模、業績、人事などを、ホームページやパンフレット、帝国データバンクなどといった資料を使って把握していきます。これらの知識を得たうえで視点を動かし、「もしかしてここが問題になっているのでは?」という仮説を立て、それを客に質問して確認、こういった作業を繰り返して課題を明確にしていきます。そして、その課題に対して、自社商品を使うことで解決できることを商談で提案するのです。

このように考えれば、提案型営業は、商談そのものよりも準備である勉強と研究が重要であることがわかるでしょう。商談は、十分な準備を経て、勝てるのがわかったときに行うのです。

ちなみに、提案型営業における研究は、方向性はまったく違うものの、人文社会学系学問の研究と似ているところが多くあります。大学時代の専門をそのまま生かせる機会は稀であるはずですが、研究手法は応用できるでしょう。営業職においても修士号並の学歴が必要になってくるのかもしれません。