宗教を学ぶメリット


宗教を勉強することで得られるメリットをいくつか紹介します。

芸術を理解できるようになる

芸術作品の多くは宗教の影響を受けています。たとえば、西洋美術であれば、17世紀までの作品の8割近くがキリスト教関連のものです。有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はイエス・キリストが死ぬ前の食事を描いています。17世紀以降の作品でもキリスト教がよく用いられており、たとえば有名なゴッホは敬虔なクリスチャンでした。彼の作品では、教会が描かれることがありますし、また直接的にキリスト教のモチーフを使っていない作品でもキリスト教思想を反映しているであろう作品が見受けられます。

日本の作品でも宗教関連のものが少なくありません。日本の彫刻作品は、その大部分が仏像などの仏教関係です。東京国立博物館や奈良国立博物館では仏像を大量に保存、展示しています。これら博物館に行くだけでも日本の芸術が宗教の影響を多段に受けていることがわかるでしょう。

また、美術だけでなく、文学や舞台芸術、映画などでも宗教の知識が役に立ちます。近年、芸術的価値が認められるようになってきた日本アニメでも宗教の影響が極めて強く、宗教を知っていればより深い理解へとつながるはずです。

ニュースを理解できるようになる

全部が全部というわけでは決してありませんが、意外と宗教関連のニュースは少なくありません。たとえば、アメリカ政治ではキリスト教が大きく関わっています。トランプさんはキリスト教保守派から強く支持されており、彼の発言は保守派を強く意識しています。彼の言動を理解しようとすれば、キリスト教に関する知識は不可欠でしょう(もちろんキリスト教だけを知っていればいいわけではありませんが)。また、トランプ関連で言えば、パレスチナ問題もあります。これは、ユダヤ教とイスラムの対立と捉えられることが多いのですが、宗教の知識があれば、実は宗教がそれほど関係ないということが見えてきます。

宗教関連のニュースと言えば、西洋や中東のイメージが強いかもしれません。しかし、日本でも盛んです。令和の時代に入り、メディアはお祭りモードとなっていました。天皇の儀式に関するニュースも増えましたね。これも実は宗教です。日本では、これは宗教ではなく文化だと捉えられる傾向があります。しかし、本来明らかに宗教であるものが文化と呼ばれていることにも、その背景には宗教的な要素があり、宗教の知識がなければ理解できないものです。

現代人の宗教性が理解できる

科学が十分に発達したことで、わたしたちの生活にはほとんど宗教的なものが排除されたように思えます。しかし、必ずしもそうではありません。

たとえばアニメでは次のような表現がよく見られます。重要人物が死んでしまうが、その人の記憶が実はデータとして保存されており、後にAIとして再構成される、という感じです。これはAIという最先端の科学技術を用いてはいますが、やっていることは復活であり、極めて宗教的です。

科学関連でもう一つ例をあげましょう。ARやVRといった仮想現実の技術がかなり発達してきました。これは本当にここ数年の出来事です。極めて新しいことですね。しかし、同じようなことは昔から行われてきました。大乗仏教である密教には曼荼羅があります。通常、これは絵として表現されますが、仏像などを用いて立体的に表現することがありました。この現実世界において、悟りの世界という究極を表現しようとしたのです。これはまさにバーチャルリアリティでしょう。つまり、ARやVRは、技術そのものは新しいものですが、本質的なところは宗教とそれほど変わらないのです。

このような科学が発達した現代において、令和という時代がやってきました。人々は古い時代が終わり、新しい時代がやってくることを歓迎したのです。しかし、言うまでもないことですが、元号が変わっても時間は連続しているのですから、何かが変わるわけではありません。それでも人々は、新しい時代に対する欲求を持っているわけです。このような欲求はしばしば宗教にも見られるもので、専門用語では終末論と言います。人々はいつの時代でも新しい時代に期待したのでした。

このように、まったく宗教とは関係のなさそうに見えるものでも、実はその背景に宗教的関心があることが珍しくありません。これは宗教を勉強しないと意識すらできないものです。

新しい視点が得られる

現代において宗教は排除すべきものとして語られる傾向があります。それゆえ、あまり注目されてこなかったため、宗教を学ぶことによって、かえって新鮮な視点が得られることになります。これは宗教を信仰しろと言っているのではありません。宗教を信仰しなくとも、何かしらの視点が得られるものです。

たとえば、スーパーに行くと大量の肉や魚が販売されています。現代からすれば当たり前の風景ですが、これはたかだか数十年の出来事であり、それ以前はそう簡単には手に入りませんでした。人々は生命と身近に接することが当たり前であり、その中で生命に対する畏敬の念があったのです。そのような価値観があったということを理解できれば、現代のスーパーの風景を違った視点からとらえることができるようになるでしょう。

このような、普段の生活からは得られないような視点が宗教には豊富にあります。宗教を信じなくてもこの視点を得ることは可能で、この視点から現代を見ることによって、現代に潜む問題を対象化したり、今まで気づかなかった豊かさに気付けるようになったりできるはずです。

まとめ

宗教を信じていなくても、宗教を学ぶことは可能です。そして、ここまで書いてきたように、宗教は人間と密接に関わるものです。宗教を学ぶことは、そのまま人間を学ぶことにつながるのです。どうしても現代では、宗教は怪しいものと理解されてしまいます。しかし、人類史上、宗教のなかった時代は存在しないのであり、宗教は人間にとって極めて重要なものです。その宗教を学ぶことには、ここでは書けないほどのメリットが存在します。ぜひとも宗教を学んでみてください。