『バグダッド・カフェ』を見た感想



『バグダッド・カフェ』

監督:パーシー・アドロン

脚本:パーシー・アドロン、エレオノーレ・アドロン

公開:西ドイツ1987年、日本1989年

おもしろい!

これを見れば映画マニア、的なよくある作品リストに、『バグダッド・カフェ』がよく上がっているので、前から見ないといけないと感じていました。別に映画マニアになりたいわけではないですが、やっぱり有名どころくらいは押さえておきたいところです。それで、ずっと見たいなと思いながら見る機会がなく、ちょうど頭痛で何もやる気がしなかったものですから、軽く見てみるかということで見てみました(失礼な動機ですね…)。

結論からいうと見てよかったです。単純に面白かったですね。ある意味では、よくも悪くも中身がない作品で、どちらかというと雰囲気を楽しむような感じだと思うのですが、頭痛で頭がぼーっとしていたのが逆に良かったのかもしれません。あまり説明がない作品で、例えばドイツ人のヤスミンは結局何者であるのかは最後まで語られていませんが、いちいち考えていたら多分楽しめていなかったと思います。

何がどう面白かったのかを言葉で表現するのはなかなか難しいところですね。でもなんかいいんですよ(笑)最初のカフェなんかボロボロで、ボスのブレンダもしょっちゅう怒っているのですが、ヤスミンの登場で徐々に変わっていき、みんな仲良くなっていきます。登場人物はみんなクセのある変な人たちなのですが(正直そんな変わってるとは思わなかったけど。しいて言えばブーメランの青年はヤバかった、登場人物の中で一番ヤバいと思う)、ヤスミンをきっかけにイイ感じになっていき、またヤスミン自身もおばちゃんからまるで少女のように変容してくのが興味深ったです。

とか思ったらデビーが「仲良すぎるわ」とか言って去っていく(笑)この絶妙なバランスがたまりませんでした。あと、ちょこちょこブレンダの旦那が「おお、ブレンダ…」とか言って出てくるのも、いいですね(笑)

言語と文化

ちょこちょこ気になったのは言語です。英語だけでなくドイツ語での会話もあったと思います。しかし、ドイツ語のところは字幕がありませんでした。何を言っていたのかがまったくわかりません。あと、気のせいかもしれませんが、英語とドイツ語以外にもなんかしゃべってませんでした?コックスがなんか言っていた思うんですけど。

それに、戸田さんの翻訳をどうこう言いたいわけではないのですが、英語のニュアンスをうまく日本語で表現できない部分もあったと思います。どうも、この辺の言語の問題でわかりにくいところが出てしまっている気がしますね。

例えば、デビーがかなり印象的だったのでよく覚えているんですけども、字幕では「仲が良すぎる」となっていた部分を直訳したら「調和がありすぎる」になると思うんですが、これはかなり意味が変わってきます。その直後にヤスミンとブレンダと仲間たちが歌いだしますが、ここの歌(曲)にはズレがありますし、演奏している人たちがそもそも違いますから、「調和」とは言い難いと思います。

つまり、デビーは人間(心とか精神的なもの)と場を勘違いしたのではないでしょうか?舞台が砂漠であることや、ボロボロのカフェがいい感じのカフェに変容していることはそれなりに意味のあることだと思います。歌の後はコックスが告白し、ヤスミンの「ブレンダに相談するわ」で終わるわけですが、調和していないと考えると、その後の2人の生活には何らかの衝突が想像されます。

その辺を考えなければ、「仲が良すぎるって、コイツは他人の喧嘩を楽しんでただけか(笑)」とか「ブレンダに相談するって、結局どっちやねーん!(笑)」(でも、それを抜きにしても、ヤスミンはコックスの申し出を受け入れているとは思います。コックスのシンボルの刺青を入れているし、ビザが切れてドイツに帰国したにも関わらずカフェに戻って長期滞在するつもりであることを明言しているし、コックスを部屋に招いたときのしぐさは受け入れているように思える)と笑えるんですけどもね。

それから、タイトルが『バグダッド・カフェ』ですが、舞台はアメリカの砂漠であってバグダッドはそんなに関係ないですし、原題は『Out of Rosenheim』ですけども、ヤスミンの出自や持っていた民族衣装も気になります。ヤスミンの名前の発音も非常に気になりました。私にはその辺のことはまったくわかりませんが、向こうの文化的なことも大きく絡んでいるのだろうと思います。これは勉強しないとどうしようもありませんね。

まとめ

映画全体を通してみれば単純に楽しめる作品だと思うのですが、細部まで見てみると非常に難解な作品だと感じました。あまり考えずに見たほうが面白い作品だと思います。まとまってないですけど、そんな感じの映画です。