【体験談】顎変形症の手術や入院の様子


顎変形症の手術や入院といったところを中心にまとめてみたいと思います。ちなみに、この記事の内容は、個人の体験談です。手術や入院の手順、方法などは人によって異なりますから、十分に注意してください。

手術の準備

歯列矯正が十分に進み、歯並びが綺麗になったら、手術の準備が始まります。ただ手術の準備といってもそんなに忙しいものではなく、400mlの貯血、健康診断、口内の筋除去、入院に必要な物の用意、くらいです。

貯血は普段あまり経験することではないので不安に思われる方もいるかもしれませんが、採血の長い版、みたいなものになります。血を採る間はベッドに横になっているだけなのでそれほど苦ではありません。実際のところ、貯血するほど手術で出血するわけではないそうですが、念のためにやっておくそうです。使わなかった場合でも術後に体に戻すと説明を受けました。

健康診断はよくあるやつですね。特に説明はいらないでしょう。貯血と健康診断は同じ日に同じ病院で行いました。

口内の筋の除去は、必要な人と必要でない人がいるそうです。前歯の上の方に筋がある人はこれを除去しなければならないかもしれません。これは病院ではなく矯正歯科で、貯血と健康診断とは違う日にやってもらいました。だいたい30分くらいです。しかし、そのほとんどが麻酔待ちとかなので、実際に筋を除去(焼き切ってるそうです)する作業は数分しかありません。痛みとかは全くないです。

入院に必要な物もそんな大したものではなくて、パジャマやタオル、シャンプー、歯ブラシ程度のものになります。旅行に必要なもの、と言えばイメージしやすいでしょうか。ただタオルは手術に使うものなので多めに用意しなければなりません。それから、特殊なものとしては、術後の顔の腫れを抑えるためのヘッドキャップ、術後の口を固定するための輪ゴムと輪ゴムを装着するためのピンセット、などがあります。しかし、これら特殊なものに関しては矯正歯科で購入できるので用意に手間取ることはないでしょう。

あとは、手術までの間に、かぜをひいたり、病気になったりしないように、体調管理に気をつけてましょう、程度のものだったと思います。

入院

入院する日数は執刀医や病院の治療方針によって変化するとは思いますが、私の場合は10日間でした。入院初日にいきなり手術をするのではなく、3日目に手術を行いました。

それじゃあ1日目と2日目は何をするんだってことになるのですが、大したことはしません。手術を担当してくれる先生方(執刀医や麻酔医など先生は複数人おられます)に挨拶をしたり、本当に手術ができる状態であるのかをもう一度確認したり、手術直前の最後の説明など、というような感じです。かなり暇になるので、本を数冊持っていくなど、何か暇つぶしがあった方がいいと思います。

1日目と2日目は特に目立ったことはないのですが、麻酔医と会った時は同意書がありました。これは全身麻酔を使った手術の場合は、顎変形症とかに関係なく、必ずするのだろうと思うのですけども、内容は「麻酔の影響で万が一のことが起こりうる可能性がありますよ」みたいな感じだったと思います。これは同意しないと手術を受けることができないようです。

そして、2日目の夕方くらいから飲食禁止になります。これは、胃の中に物が入っていると、全身麻酔中に嘔吐して喉をつまらせてしまう可能性があるから、と説明を受けました。水も飲めません。

手術

3日目の早朝に手術が行われました。病室で手術着(布一枚)に着替え、看護師さんに連れられて手術室に向かいます。

私はこの時初めて手術室に入ったのですが、色々な驚きがありました。まず寒い。手術着が薄いということもあるのですが、抗菌などの理由で室温がかなり低く設定されています。

そして手術室の様子がドラマのそれとほぼ一緒であること。一時期医療系のドラマが流行しましたが、その時によく手術室が出てきますよね。そのテレビで見る手術室と実際の病院の手術室がほぼ一緒でした。正直なところドラマはあまり好きではないのですが、こういうところには凝ってるんだなぁと関心しました。

そんな感じで手術室に興味があって「あれはなんだ、これはなんだ」みたいになっていたのですが、すぐ手術台に横になります。手術台はかなり狭いので、横になる時に落ちそうになりました。またこのとき、ある先生が「今日のメンバーは豪華だね、○○さん(私のこと)は幸運だ」みたいなことをおっしゃったと思うのですが、おそらく緊張を和らげようとしてくださったのだと思います。何が言いたいかというと、感じ方はたしかに人それぞれでしょうが、そんなに怖い雰囲気はないです。

そして、横になるとすぐ左手に注射を刺されます。この注射は確か、腕ではなく、手の甲に刺されました。割と痛いです。

次に、ドラマでよく見る、口に当てる酸素のアレを付けられます。「おお、ドラマで見たやつだ!」って思いました。それで先生が「ちょっとむせるよ」と言うとすぐにむせました。「なんか出たんだな」とか思いました。

すかさず麻酔医の先生が「ちょっと冷たく感じよ」と言うと、左手に刺されていた針から何か冷たいものが体の中に入ってくるのが感じられました。これは今でもハッキリと覚えていますが、かなり気持ち悪いです。手から腕に向かって、何かが通っているのがハッキリと感じられます。何かに浸食されているような気分でした。

と同時に「終わったよ!!」と先生にデカい声で怒鳴られて手術終了です。全身麻酔って本当に意識ないんですね。当たり前なのですがビックリです。

手術室に入ると本当に淡々と作業が進んでいくので、あまり怖がったりする暇もないかもしれません。おそらく、手術前日の夜、寝る前が一番怖いのではないでしょうか。

ICU

手術が終わったらそのままベッドごとICU(集中治療室)に運ばれます。ちなみに、手術室からICUに移動する間、親もその様子を見ていたらしいのですが、その時の私は顔面蒼白でガタガタ震えていたそうで「コイツもうダメだ」と思ったそうです。やっぱり手術って体に負担がかかってるんだなと後から思いました(手術の直後に起こされますけど、すぐに寝ます)。

そしてICUでは丸1日過ごすことになるのですが、ここが入院中一番辛かったです。というのも、不安になってしまう要素が大量にあるからです。

まず目が覚めて驚いたのが、管の多さです。口の中に管が刺さっていて、腕には点滴があって、尿道カテーテルがあって、というように。事前に説明は聞いていたのですが、やっぱり実際に体験するとなかなか怖かったです。

それから全身麻酔の副作用です。主に吐き気ですね。個人差があるようなのですが、吐き気は本当に辛かったです。実際に吐いたんですけど、「おげげげえええぇええええ!!!」みたいなでっかい声(音?)が出ました。漫画の表現ってかなり大げさに思えますが、意外と核心をついているのかもしれません。ちなみに前日から何も食べていないのですから、何も出ません。音だけが出ました。

あとは体温がおかしくなってしまうことです。実際の体温は知りませんけども、暑いと寒いが頻繁に繰り返されます。これでしょっちゅう目が覚めました。寝れたもんじゃありません。まあ、全身麻酔の影響で知らない間に寝てるんですが。でも寝るからこそ起きるわけで…。ただ、やっぱり基本的に熱があったようで、途中、座薬を入れてもらいました。

こんな感じでICUは大変です。そしてICUを出る直前に尿道カテーテルを抜くのですが、割と痛かったです。あと、1日中寝ているために、足の筋肉が衰えてしまっているらしいので、ICUを出る直前に歩く練習も軽く行いました。その後はベッドごと病室に戻ります。

術後の入院生活

病室に戻ったら、普通に立って歩いたり、自由にしたりすることができるようにはなっています。ただ、いろいろと制約があります。

まず、口が開きません。せいぜい数ミリです。そのためご飯も食べられません。しばらく流動食が続きます(私の場合は術後3日目から固形食になりました。といっても、非常に細かく切り刻んだ野菜など)。

また、食事中以外に関しては口を固定しなければならないため、矯正装置に輪ゴムをかけて(これが意外と難しく、慣れない内はストレスになります)、口が開かないようにします。口のギプスといったところかもしれません。

あと、顔がパンパンに腫れています。尋常ではない腫れです。ちなみに腫れが完全にひくまで約2か月かかります。

それから、術後の体の様子を確認するために、また検査が増えてきます。採血は毎日やりますし、口の中の状態が良好であるかを確認するために頻繁に口腔外科の診察室に通います。

耳鼻科も忘れてはなりません。口なのに何で耳鼻科?と疑問もありそうですが、上顎を切り取っているため、位置的に近い鼻にも影響が出ます。1週間くらいずっと鼻血と膿が出ているので、耳鼻科で吸引してもらうんですね。この吸引が痛い。もちろん、吸引中は麻酔をしてもらっているんですけども、麻酔が切れると何とも言いようのない痛みに襲われます。入院中に唯一泣いたのがこの吸引でした。

そして、地味に怖い思いをしたのが、口の中の管を取る時です。何のための管なのか知りませんが、2本入っています。これを抜いてもらうんですけど、痛くはないのですが、すごく気持ち悪いです。そしてその管が長いんです。予想外の長さの管が口から出てくるのを見ているのは、気持ち悪かったですね。

これだけ書いたら大変そうにも思えるのですが、割とすぐに慣れます。また、診察は頻繁にありますが、1回5~10分程度で終わるので、術後の入院はかなり暇です。「ああー、暇だなぁ」と思える程度には精神的余裕があります。大変なのは大変だけど、困難な生活というほどではない、といった感じでした。表現が難しいところがあるのですけども、まあ、慣れます。

退院後

退院後に関しても、だいたいは入院中と同じような生活になります。食べ物は小さく切り刻んで、硬いものや刺激物は食べない。食事中以外は口を輪ゴムで固定する。運動はしない。というような感じです。

また、退院後も頻繁に病院と矯正歯科を行き来することになります。腫れがスゴイので、外に出る時はマスクをつけないと、さすがに恥ずかしい、というか心配されると思います。それから、チタンプレートで固定しているとはいえ、顎は骨折しているようなものですから、転んでしまったり、人にぶつかったりして衝撃を与えないだろうか、と外出中は不安が多くありました。

そして、このような生活をしばらく続けていくと、開口訓練が始まります。術後は顎の筋肉が完全に衰えているので、数ミリしか口が開きません。なので、口を開けるための訓練をします。この訓練を怠れば、口が一生開かなくなるそうです。開口訓練は非常にシンプルで、親指と人差し指を口の奥に入れ、力技で口を開けるというものです。

ちなみに、術前と術後ではかなり顔が変化します。友達の中には、私を私と認識できない人もいました。私が声をかけると「え?誰?」というような反応をされるわけです。それほどに顔が変わります。顔が変わるという説明は聞いていましたが、まさかここまでとは思っていなかったので、友達には入院するとしか言っていませんでした。顔が変わるとまでは言っていなかったので、説明が面倒でした。はたから見ればただの整形ですからね。術前に顔が変わる可能性があることを、関係する人たちに伝えた方が良いと思います。

チタンプレート除去手術

手術をした半年後くらいを目安に、チタンプレート除去手術を行います。顎はチタンプレートで固定しているのですが、このチタンプレートは1年以上経過すると、体と結びついて、除去できなくなります。チタンプレートそのものは人体に無害だと考えられているため、放置しても問題ないとされているのですが、体の中に異物が入っているのは嫌だ、という人は除去することになります。顎変形症の手術をした9割近くは除去手術をしているそうです。

この手術に関しても、以上のような手術の流れとほぼ同じです。しかし除去手術の場合は、体への負担が少ないことや、ICUにも入らなくていいなど、比較的楽ではあります。

まとめ

先生曰く、顎変形症の手術というのは、それほど大変なものではない、らしいです。しかし全身麻酔を使う程の手術ですから、難易度としては低いのかもしれませんけども、患者としてはかなりの負担があると思います。

とはいっても、辛いのは事実ですが、意外と慣れるものです。慣れてしまえば、確かに大したものではないな、と思えてしまうのが不思議なところですが、でもそういうもんです。

これから顎変形症の手術をされる方もいるとは思うのですが、そんなに身構えることなく、手術に臨まれてもいいのではないかな、というのが私の感想です。

顎変形症の手術を受けるためには仕事を辞めないといけない? - nancolu