着物業界で働きたい!業界の構造はどんな感じ?


着物業界で働いてみたいけど情報が少なすぎて業界研究ができない、着物業界の構造がよくわからないという人が少なからずいるようです。そこで、大雑把に着物業界の構造がどうなっているのかを概観してみたいと思います。

大きく3つ

着物業界はかなり複雑な構造になっていて、おそらく全体を詳細までしっかりと把握している人はいないと思われます(どこの業界もそういうものでしょうけど)。なのでとりあえずここでは業界を3つに分類して考えます。メーカー、問屋、小売です。

メーカー

要は職人さんです。着物の生地を作ったり、染めたり、織ったりするわけですね。着物業界が複雑なのはまさにここです。1つの着物を作るまでには膨大な工程があって、それぞれの工程にそれを専門とする職人さんがいます。また、着物自体かなりの種類があるわけですが、着物によって作業工程が異なるため、さらに細分化されることになります。

問屋

メーカーと小売の仲介です。メーカーから商品を買って来て、それを小売店に流していきます。

問屋は扱う商品で3つに分類ができると思われます。1つ目は専門性を持っているところです。たとえば、友禅しか扱わない、というような感じになります。2つ目は着物全般です、そのままですね。3つ目は着物だけでなく宝飾も扱うところです。指輪や高級バッグ、毛皮コートなども扱います。

小売

着物を消費者に売っていきます。メーカーと問屋はいわゆるBtoBですが小売はBtoCです。小売は大雑把に分類すると、百貨店、チェーン店、個人商店、着付教室(これもチェーンと個人で分かれます)の4つがあります。

その他

基本的には上の3つなのですが、社会の変化により様々な着物との関わり方が出てきました。典型的なところでは着物レンタルで、SNSとの連関が強いと思われます。

実際の商売

以上、着物業界を3つに分類しました。これを見る限りではかなり単純な構造になっているように見えるかと思います。つまり、メーカーが着物を作って、問屋がそれを買取り、小売店に流れていく、というようにです。しかし、実際の商売はそれほど単純ではありません。ここでも詳細を書くことはできませんが、それぞれがどう関係し合って商売が行われているのかを概観してみます。

まず、前提として、着物は頻繁に売れる商品ではありません。小売店では1日の売上が0ということもあるほどです。ではどうするかというと、着物が格安で買える催事を定期的に行って、そこで集中的に客を集めます。この客を集めるというのが小売店の最大の仕事です。

さて、小売店が客を集めても魅力的な商品がないのであれば客は去っていきます。そもそも、着物は頻繁に売れるわけではないので、小売店としても在庫を持つのはリスクであり、正直なところ商品などありません。なので、ここに問屋が出てきます。問屋は小売店に着物を貸し出すのです。その意味で、着物業界は書店に似ているかもしれません。書店に置いてある本の大部分は出版社から借りているわけですが、着物小売店にある着物も借り物なのです。

問屋は在庫を豊富に持っており、小売店に貸し出すことができます。しかし、そうは言っても在庫に限界はあります。それに、貸したところで売れるわけではなく、また問屋としてもぶっちゃけ在庫は持ちたくありません。どうするか。そこで、問屋はメーカーから商品を買うのではなく、メーカーをそのまま小売店に紹介します。その仲介料をもらうわけです。紹介の方法にはいくつかあるのですが、職人さんを小売店に直接派遣したり、メーカーから商品を借りてさらに小売店に貸すというような形を取ることが多いです。

メーカーは商品を作ったり、小売店に派遣されたりしています。

主な仕事内容

実際の商売を確認したところで、メーカー、問屋、小売店の実際の仕事内容を再び確認してみましょう。

メーカー

着物を作るのが主な仕事です。しかし、実際に小売店の催事に参加して、直接着物を売ることもあります。

問屋

日常的に小売店が商品を売りさばくことはあまりないので、着物をそのまま小売店に納品することは少ないです(あるにはあるのですが)。そこで問屋は小売店に催事の提案をしていきます。基本的に小売店は定期的に催事を開くので、問屋が新規に催事を提案することは少なく、「前回のテーマは○○でしたから、今回は□□でやりませんか?」みたいな感じでやっていきます。ルート営業がほとんどです。

また、小売店は商品知識を十分に持っているわけではないので、問屋が実際に催事に入り、消費者に商品説明をすることもあります。その意味で、問屋はBtoBだけでなくBtoCもやります。

ちなみに、催事の際には大量の着物を運ばなければならないので、力仕事になります。反物を2,30本詰めた段ボール(20kgは超えます)を数十個運びます。腰を痛める人も少なくありません。

小売

商品自体はメーカーや問屋からいくらでも手に入れられるので、最大の仕事は客を集めることです。もちろん、客が来た場合にはその対応をすることになるのですが、メーカーや問屋も客の対応をするので、集客がもっとも重要と言えるでしょう。

着付教室の場合も、着付だけで運営しているわけではなく、着物の販売会もしています。むしろ、販売会をするためのきっかけとして着付教室を運営しているところも少なくありません。着付自体は外部から講師を雇うことが多いので、実際には販売ばかりをすることになるかもしれません。

力関係

簡単に触れておきます。3つの中で最も力を持っているのは小売店です。メーカーも問屋も小売店がなければ存続できないからです。小売店の店長が派遣されてきたメーカーや問屋の人に割と強く当たっているようなことも、あるとかないか。小売店の次に力を持っているのが問屋で、メーカーに圧力をかけているとかいないとか。一番下にメーカーがいます。

とはいえ、実際にはここも複雑なところがあります。まず、小売店は商品知識をほとんど持っていません。これは小売店のレベルが低いというわけではなく、構造的に知るのが難しくなっています。その点、問屋はあらゆる商品を扱うと同時に、小売店の販売価格やメーカーからの仕入価格も知っているため、お金の計算で有利です。

さらに言えば、問屋は在庫を豊富に持っているため、やろうと思えば直接に消費者へアプローチもできてしまうわけです。1つの例としては、独立して存在しているように見える着付教室のバックに実は問屋がいた、というような感じです。メーカーから仕入れてそのまま販売できるので、利益がかなり大きくなります。問屋は業界の色々なところに関わるので、情報を多く持っており、全体的に有利です。

しかし、問屋が一方的に強いのかと言えば、必ずしもそうとは言えません。ネットです。従来の着物業界では必ず問屋という仲介を通さなければ着物を販売することができませんでした。しかし、ネットが普及したことで商品を探しやすくなり、メーカーと小売店が直接取引できるようになったわけです。さらに、メーカーが小売店を経ずに消費者へ直接アプローチできるようにもなりました。結局のところ、メーカーにしか着物を作る技術はないのですから、販売経路が問題にならないのであれば、メーカーがもっとも強いとも言えます。

いろいろと書きましたが、そうは言ってもやはり着物業界です。かなり体質は古く、基本的な構図としては、小売店が一番、その下に問屋、さらに下にメーカーとなるでしょう。

就職するならどこがいい?

自分が何をしたいかで決めるのがもっともよいでしょう。着物を作りたいならメーカー、いろいろな着物に触れたいなら問屋、実際にお客さんと会って着物を勧めたいのなら小売店というようにです。

ただ、就活生としては安定性がもっとも重要な指標となっているようですが、それに従うならば問屋がマシであるように思われます。着物業界全体が「大丈夫か?」みたいな状態になっているのは間違いのない事実なので、どこも変わらないといえばそれまでです。しかし、問屋は、業界の中では比較的組織が大きく、体力があるので、なんとかなりそうな雰囲気があります。安定性で考えれば、もっとも悪いのはメーカーでしょう。メーカーの場合、「就職」というよりかは「弟子入り」であり、「サラリーマン」というよりかは「アーティスト」です。そもそも求人が少ないですけど。

まとめ

がんばってください。