なぜゲームでキレてしまうのか


ゲームでキレる人

ゲームでキレてしまう人の存在は昔からよく指摘されています。ここ最近ではネット対戦が普及したこともあり、より一層目立つようにも感じられます。

また、ゲームでキレてしまう原因についてもいろいろな指摘がなされています。よくあるのが、性格によるものとする心理学的な観点や、精神病などの医学的な観点からの説明です。

しかし、Nintendo Switch『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』が発売され、それに関する口コミなどを見ていると、性格や病気以外の原因があるように思われました。そこで、ゲームに対する誤解という観点から考えてみたいと思います。

ゲームに対する誤解

結論から言うと、ゲームでキレてしまう人は、「ゲームは簡単な娯楽であり、勝てるのが当たり前」という認識を持っており、本来的な意味でのゲームに触れた際にその認識とのズレが生じることが原因だろうと思われます。

これを説明するには、ゲームとは何か、という壮大なテーマについての前提が必要になります。これは非常に難しい問題で、未だに決着がついていないほどです。なので、ここではごくごく簡単な説明に留めておきます。

多くの人はゲームという言葉を聞いた時にゲーム機を使ったものを想像するでしょう。しかし、それはゲームの一部でしかありません。本来のゲームの意味は、将棋やサッカーなども含む多様なものです。辞書でゲームを調べると大体は以下のように書かれているでしょう。

1 遊びごと。遊戯。「ゲームコーナー」

2 競技。試合。勝負。「白熱したゲーム」

3 テニスで、セットを構成する1試合。「先に二ゲームとったほうが勝ち」

4 「ゲームセット」の略。

(引用:goo国語辞書

注目したいのは2の意味です。ゲームは、競技、試合、勝負なのです。つまり、ゲームには対戦相手が存在します。ゲームに参加するプレイヤーは勝利を目指して戦うのです。これがゲームの目的です。

プレイヤーには意思が存在します。そのため、対戦相手がどのような手を使ってくるのかはわかりません。つまり不確定要素です。その不確定要素を、戦略と戦術を用いて確実へと近づけ、そして勝利を目指します。これがゲームの本質です。

これを踏まえたうえで、ゲーム機を使ったゲームと呼ばれているものについて考えてみましょう。ここではスーパーマリオを例にします。スーパーマリオの1面の最初にはクリボーという敵が出てきます。さて、このクリボーは自らの意思で戦略と戦術を用い、マリオを本気で倒そうとしているでしょうか。そんなことはありません。プログラマーが組んだ通りに動いているだけです。つまり、スーパーマリオはゲームではないのです。これを考えれば、一般的にゲームと呼ばれているものの大部分がゲームでないことがわかるでしょう。

では、なぜゲームでないものがゲームと呼ばれているのでしょうか。これは非常に簡単なことで、ソフトを再生する機械の名称がゲーム機だからです。一般的には、ゲーム機で再生できるものはすべてゲームなのです。そのため、本来まったくの別物であるはずのものがゲームの一言で片づけられるようになりました。

一般的にゲームと呼ばれているものの大部分は、購入者がクリアできるように設計されています。なぜこのようになっているかというと、そうしないと売れないからです。ここまで見てきたように、ゲームには戦略と戦術が必要です。これを使うためには考えなければなりません。しかし、すべての人が考えることに喜びを見出せるわけではないのです。できることならば難しいことは考えたくない、そういう人は少なくありません。しかし、営利企業として生き残るならば、そういう人も対象にしなければならない。ある意味で、この現象は、ゲームの大衆化と言えるでしょう。

そういうわけで、一般的な意味でのゲームを普通に楽しんでいる人は、ゲームはクリアできて当たり前、CPUにも勝てて当たり前、という認識をするようになりました。そのような中で、「大乱闘スマッシュブラザーズ」という数少ない本来的なゲームが爆発的にヒットしました。本来的なゲームに慣れていない人が本来的なゲームをすると負けることになります。ここで、「ゲームは勝てるはずなのに勝てないなんておかしいじゃないか!」となるわけです。

ゲームとゲームでないものの区別

本来的なゲームは万人受けするものではありません。なので、大衆化の波の中で本来的なゲームについていけない人が出てくるのは仕方のないことです。ゲームでキレる人を少なくするには、ゲームとゲームでないものを区別することが欠かせないのかもしれません。

その意味ではeスポーツにはそれなりの意義があるように思われます。というのも、eスポーツで扱うタイトルと本来的な意味のゲームはおおむね一致するからです。「ゲーム」という名称は広く一般に浸透してしまっているのですから、この認識を変えるのは容易ではありません。であるならば、eスポーツという新しい名称を持ち出すのは合理的です。

とはいえ、結局のところ、eスポーツの本質は本来的な意味でのデジタルゲームです。そのため、eスポーツに合わせるならば、eゲームの方が正しいでしょう。しかし、ゲームという用語を入れると、一般的な意味でのゲームと混同されてしまいます。

ここまで読んでいるとわかるはずですが、ゲームとスポーツの大部分は一致します。しかし、やはり両者には違いがあるもので、ゲームをスポーツと呼んでしまうといろいろな問題が発生します。詳しくは書きませんが、典型的なところでは賞金の問題があるでしょう。

ゲームとゲームでないものの区別は重要ですが、そのさいの名称をどうするかも重要な問題です。徐々にeスポーツという名称が浸透してきていますが、本当にこれでいいのかはもう少し議論があってもいいのではないでしょうか。

(個人的には、本来的なゲームをそのままゲームと呼びたいところです。そして、一般的に、ゲームと呼ばれているがゲームではないものは双方向動画という呼び方が適しているように思います)

まとめ

ゲームにキレてしまう原因として、ゲームでないものをゲームであると誤解しているから、ということについて考えてみました。また、このような誤解を解消するには、ゲームとゲームでないものを明確に区別することが重要だと思われます。