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「何が売れるか知ってるけどそうしたくない」という考え方について

「何が売れるか知ってるけどそうしたくない」

分からない人にとっては、この考え方は非常に奇妙に思えるのではないかと想像します。「何が売れるか知ってるなら、それを作ればいいじゃん。作らないんじゃなくて作れないんでしょ?」みたいに感じるのではないでしょうか。

こういう人はブラックジャックによろしくみたいに脱いで踊っていればいいんですよ。いい仕事を得るには上司に好かれるのが一番手っ取り早いわけですが、それをすればいいじゃないですか。イヤでしょ?

だからモノを作れる人というのは、ちゃんとしたプライドを持っているわけです。そのプライドを捨てろと言っているようなものですからね。売れるというのは言い換えれば多くの人が注目するということです。多くの人が理解出来なければならないのですから、必然的にレベルは下がります。これはモーツァルトとJ-popのどちらが売れるかを考えればすぐに分かるでしょう。

芸人がかわいそう

かわいそうと言ったら失礼に当たりそうですけども、しかし芸人というのはかなり大変な仕事だと思います。しっかりと芸を身に付けているのにも関わらず、テレビではそれを殺さなければなりません。今のテレビに求められているのは、芸ではなく一般人代表だからです。

「芸人バカなことやってるわ」と言う人は多いですが、なぜ芸人がバカをするのかというと見る側のレベルがそれだからです。見る側より遥かに高い年収であっても一般人としてのリアクションをしなければならず、見る側より高い能力を持っていてもバカを演じなければなりません。こんなのは芸でも何でもないですよ。見る側に迎合しているだけであって。

結局のところ芸のある人はテレビには出てきません(テレビに出ている芸人にも芸を持っている人はいますが、テレビでは殺さないといけません)。ではどこにいるのかというと、劇場など本来の芸を求められる場です。芸を極めれば極めるほど活躍の場は少なくなるという矛盾。

個人的に好きな芸人として越前屋俵太‏さんという人がいるんですけども、その人も結局テレビから離れて、どこに行ったかというと大学ですよ。大学教員になって講義しているわけです。あと書家としても活動されていらっしゃるんですけども。

「精神的に向上心のない者はばかだ」

プライドは持っていても売れなければ生きることはできないのですから、どこかで折れる必要が生じる場合もあります。受け手のレベルが低いと提供する方もレベルを低くせざるを得ません。結果として全体のレベルが下がってしまいます。

分からないのは仕方のないことです(私も他人のこと言えません)。しかし分からないからこそ、分かろうとすることが大切だと思うんです。

誰でも「一芸欲しい」と感じるものだと思うのですが、「自分自身凡庸を自覚しつつ、凡庸たることの権利を主張し、自分より高い次元からの示唆に耳をかすことを拒否している」からこそ、芸への関心や尊敬が生まれないかもしれません。

「自分自身に特別な価値を認めようとはせず、自分は『すべての人』と同じであると感じ、そのことに苦痛を覚えるどころか、他の人々と同一であると感ずることに喜びを見出」す、それだけでいいのでしょうか?