美術史「ロマン主義」をわかりやすく

ロマン主義の特徴

新古典主義によって古典が支配的になると、今度は「古典だけが芸術じゃない!」という価値観を持った人たちが現れ始めます。多様な価値観を認めようとする考えによるためです。そこで生まれたのがロマン主義でした。

新古典主義では神話や歴史を題材とするのに対し、ロマン主義では実際に起きた時事問題や西洋とは異なる文化を題材とすることが多いです。

ロマン主義もフランスで生まれますが、周辺のスペインやドイツ、イギリスなどでも素晴らしいロマン主義の画家が登場します。フランスではドラクロワ、スペインはゴヤが有名で、社会の不条理といったものを描きました。イギリスはターナー、ドイツはフリードリヒが代表的で、自然におけるロマン主義を表現しています。

フランスとスペインのロマン主義

ドラクロワ『キオス島の虐殺』

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フランスのロマン主義ではドラクロワが代表的です。ドラクロワはフランスというよりもロマン主義の代表格といってもいいかもしれません。それくらいすごい人です。

典型的なのは本作だと思います。これはギリシア独立戦争がテーマになっているのですが、キオス島の人達がオスマン帝国から独立しようとし、それを鎮圧しようとしたオスマン帝国軍と戦争になります。

何とも言いようのない悲劇的な作品です。ちなみに、ロマン主義の前には新古典主義があるわけですが、新古典主義が完全に消えた後にロマン主義が起きたわけではありません。そのため新古典主義のアカデミックな画家から、本作はかなり非難されました。

ゴヤ『マドリード、1808年5月3日』

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ゴヤはドラクロワと比べると知名度が低いようにも感じるのですが、スペインの巨匠です。

手を挙げているのがスペインの市民で、銃を構えているのがフランスの軍です。こういった戦争をゴヤは目の当たりにして、その悲惨さを伝えるためにこのような作品を描いています。白い服の人をよく見るとイエスの磔刑のようにも見えますが、これはスペイン側に非がないことを示しています。

イギリスとドイツのロマン主義

ターナー『解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号』

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こちらはイギリス、ターナーの作品です。ターナーは風景画にロマン主義を取り入れました。左に描かれているのは船ですが、船は人間の力の集大成のようなものです。それに対して右側には太陽が光り輝いています。人間がどれだけ力を持っても、自然にかなうことはない、というようなことを表現しています。

フリードリヒ『海辺の僧侶』

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ドイツのフリードリヒも風景画にロマン主義を取り入れました。本作はロマン主義の典型的な作品です。広大な海と空、それを前にする小さな人間。人間は自然に対していかにちっぽけな存在であるのかを表現しています。

次の時代は写実主義

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