美術史「後期ルネサンス(マニエリスム)」をわかりやすく

f:id:k024:20170827222822j:plain

後期ルネサンス(マニエリスム)の特徴

盛期ルネサンスが過ぎると、次は後期ルネサンス(マニエリスム)がやってきます。ルネサンスの後期なので後期ルネサンスです、そのままです。

特徴は奇抜さです。対象が引き伸ばされ、さらにはグニャっとねじれていることもあります。構図もどことなく現実離れしているような空間で描かれたりもします。この記事のアイキャッチ画像はエル・グレコの『ラオコーン』という作品なのですが、体が伸びてねじまがっているのが分かると思います。

気になるのは、なぜ盛期ルネサンスからこのような様式に変化したのか、という点です。これには議論があって、好意的な解釈と否定的な解釈があります。好意的に解釈すると、ルネサンスで重視された古典だけでなく精神的な表現を試みたため、となります。否定的に解釈するならば、古典から学ぶのではなく盛期ルネサンスの優れた画家の様式(イタリア語で「マニエラ」)を極端に模倣(マンネリ)した、となります。

もう1つ特徴があって、それは謎解きの要素が含まれていることです。何らかの意味を持つ記号を作品中に散らばめることで、解釈を難解にしています。これにはパトロン(後援者)の影響があります。西洋画にはキリスト教に関する作品が多いのですが、これは画家にお金を払うのが教会だからです。教会が力を持つとキリスト教に関する作品が多くなるわけです。そしてこの時代は教会ではなく、宮廷が力を持ちました。そのため宮廷という位の高い人に適した教養が必要となる難解な作品が増えます。

エル・グレコ

『トレドの背景と十字架のキリスト』

f:id:k024:20170827224556j:plain

マニエリスムではエル・グレコが非常に有名です。これはイエスの磔刑を描いたものですが、体が引き伸ばされ、そして曲がっているのがよく分かります。

エル・グレコは当時の知識人からも非難されていたようです。しかしキリスト教徒からは、信仰といった人間の内面性を上手く表現しているとして評価されていました。

ブロンズィーノ

『愛のアレゴリー』

f:id:k024:20170827224934j:plain

これはマニエリスムを代表する典型的な作品です。色んな寓意が入っていて、知識がなければ全く理解できない作品です。当時の人は、自分だけが分かる、というような優越感に浸っていたのかもしれません。

大雑把にこの作品について書くと、中央の女性はヴィーナス(金のリンゴを持っているため)で、その左の口付けをしている少年はアモール(キューピットのこと)。アモールはヴィーナスの息子です。ヴィーナスの足元にある仮面は偽りを示します。

アモールの後ろにいる頭を抱えた女性は嫉妬を表現。画面右の子どもは快楽を意味します(薔薇を持っている)。快楽の子どもの後ろには下半身が化け物になっている少女(欺瞞)がおり、その上には時を表す老人(砂時計を持っているため)とその手の先にいる女性は真理。

結局のところ、この作品が何を意味しているのかはよくわかっていません。今でも議論がいっぱいです。

次の時代はバロック

1分でわかる西洋美術史の流れ(絵画メイン)