B層マーケティングはなぜなくならないのか―脳科学の分野を例に

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あまりB層とか言ったら怒られそうなんですけども、ちょっと書いてみたいと思います。

そもそもB層とは

広告業界にいる人やマーケティングをしている人にとっては常識みたいなのですが(私は業界の人間ではないんですけども)、でもまだあまり一般には浸透していないような気もします。まあ適菜さんが本いっぱい出しているんで知ってる人は知っていると思うんですけども。

B層を一言で言うと、IQが比較的低く構造改革に肯定的な人、です。B層以外にも分類はあって、A層からD層まであります。

A層:IQが比較的高く構造改革に肯定的。B層:IQが比較的低く構造改革に肯定的。C層:IQが比較的高く構造改革に否定的。D層:IQが比較的低く構造改革に否定的。

言葉にすると分かりにくいかもしれませんが、ウィンドウズのロゴみたいに4つの枠を作って、縦軸をIQの高さ、横軸を構造改革として図を作ると分かりやすいと思います。

もともとは、郵政民営化の際の小泉政権の支持基盤として想定されたものです。票を得るためにB層に集中的に広報活動をして見事勝利した、っていう形になるんですが。

このB層というのは、今ではマーケティングでは当たり前のように使われています。なぜかというと、B層が一番数が多いため、ここを主なターゲットとして広報を展開すると利益が上げやすいわけです。

そして、B層をターゲットにすると、多くの場合、質が下がります。例えば、テレビなんかは典型的なんですけども、テレビで使われる言葉って大体小学生の高学年が理解できるレベルのものが大半です。だから表現がかなり狭くなります。そして画面の下のバカみたいな装飾をした文字がいっぱい出てきます。

少し前に、はあちゅうさんがTwitterで「CMは偏差値40の人にも理解できるものじゃなきゃダメ」みたいなことを言って炎上していました。確かにツッコミどころは多くありますが、ニュアンスとしては分かりますし、そしてそれは業界では常識だと思います。

で、私はずっと「B層が学ばないから社会はどんどん低レベルになるんだ」と思っていました。しかしよくよく考えてみると、必ずしもそうとは言えないのではないか、と思うようになりました。前置きが長くなったんですけども、これについてです。

脳科学を使った商品

私は中堅大学文学部卒のペーペーなんで、脳科学のことなんか全然分かんなくて、例として使うのもどうなのかな、と思うのですが、でもこれは分かりやすいと思うので使いたいと思います。

脳科学に関係する商品というのはけっこう多くあります。例えば、脳トレをして脳を鍛えると頭が良くなる(ちょっと古いですけどDSは流行りましたね、テレビでもそれ系の番組が流行りました)、食べると頭がよくなる商品、などなど挙げればキリがないほどたくさんあると思います。

これらは結論からいうとウソなんですよ。ウソと断言すると語弊があって、確かにそういう商品がPRする効果は認められるんですが、そんな目に見えるほどの大きな効果はありません。

こういう商品にはしばしば脳内の動きを色で示した画像が付き物です。赤くなっている部分が活発化している、というようなものですね。実はこの画像は加工してあります。

元々の画像は脳内の血流を示した画像です。血が動いているとその部分が働いていると言えるわけですね。で、例えば、「点を見ている」「文字を目で追う」「文字を声に出して読む」「人と会話をする」というように動作別に血の動きを見て比較をします。

すると、驚くべきことに、血流はほとんど変わらないんです。違う動作をしても特定の部分が働くことはなく、脳は全体として働いているんですね。

しかし研究としては、「全体が動いているんだ」では意味が分かりませんから、少しでもいいから差異を見つけようとします。結果的によーく観察してみると血流にごくわずかな違いが見られるんです。そのごくわずかな違いを見やすくするために、赤とか青とか色付けをして、私たちがよく目にする脳の画像になります。

なので完全にウソというわけではないのですが、商品を試したところで、大きな変化はないです。むしろ継続して利用してストレスが溜まって逆効果、なんてこともあるかもしれませんね、分かんないですけども。

しかし商品には「脳科学者の○○監修!」とか書いてあるわけですから、B層(と言ったら失礼かもしれませんけども)とかそういう傾向のある人というのは、「エビデンスとか難しいことは分からないけども何かすごそうだ!買ってみよう!!」と、考えるというワンクッションなしに行動に移してしまうのかもしれません。

(あまり関係ありませんが、最近日本で流行っているマインドフルネスは、一般的な日本人にはほぼ意味がありません。マインドフルネスにも色々な文脈があるので効果のある人も中にはいるでしょうけども、大半の日本人にはまず意味はないです)

B層マーケティングが生まれる原因とは?

ここで疑問が起こります。脳科学を応用した商品の多くは、ほとんど効果がみられないわけですが、では間違った(間違ってないけども)商品を広めているのは誰なのか。これはマスコミや商品を売っている会社です。

それでは、そういった商品開発をやったのは誰なのか。これは研究者です。だって研究者は少なからず監修しているわけですから、商品開発の段階で「いや、それは効果ないよ!」って言えるはずです。でも実際には商品になっています。

ではなぜ研究者はそんなことをするのか。プライドとかはないのでしょうか。ということを考えると、研究者のおかれている状況が極めて不確かなことになっているのではないか、と思えてくるわけです。

研究者というと、多くは大学院を出ているでしょうし、好きな研究で生きているのだろうし、研究だったらそれなりの給料とかも貰っている、みたいなイメージがあるかもしれませんけども、常にポストとの戦いです。研究成果も出していかないといけませんし、かなりプレッシャーのある環境での仕事になると思います。

最近では論文のねつ造などが問題になることが多く、特にバイオ系は酷いとはよく言われていますが、やっぱりそれだけ過酷な環境なのでしょう(つい最近は人文系でもありましたし、理系だけじゃなくて全体的にきついのかもしれません)。

だからこそ、よく分からない商品開発に協力せざるを得ないのだろうと思います。社会のチェック機能が上手く機能していないというか。そしてのそのしわ寄せが「弱者(B層)」にいっているような。今は脳科学を例に使いましたけども、他の分野でもこういう、上層が意外と切羽詰まっていて、チェック機能が果たせていないような部分があるような気がします。

B層も学ばないといけないのだろうけども、脳科学のような高度なことになってくると勉強不足では片づけられませんしね(理解できなくても疑問を持ってワンクッション置くくらいできそうな気もしますけども)。

ごめんなさい、最後の方まとまりがありませんけども、色々な原因があるような気がします。学ばないB層も悪いと思うけども、いろんな場所(組織など)の、いろんな都合の悪いところが全部B層にしわ寄せとして向かっているような気がします。

バカの定義を考えてみました、どうでしょう?
いわゆる真面目な人が嫌い